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最近読んだ本 2012年4月

『猫を抱いて象と泳ぐ』;小川洋子

チェスのお話しです。
生まれた時に上下のくちびるが結合していたために産声を上げなかった少年が、ふとしたことで出会った男性からチェスを教わります。だんだんと強くなるうちに、チェス盤の下に潜り込み男性の飼い猫ポーンを撫でながら指すという方法を身につける少年。
ところが、男性が突然亡くなり、その太りすぎの体型故に住処にしていた路線バスの車体から出られなくなったのを目撃してしまった少年は、11歳でこれ以上の身体の成長を自らの意志で止めてしまいます。
チェスの師匠を亡くし悲しみに暮れる中、とあるチェスクラブで精巧に作られたからくりチェス人形の装置に身体を押し込め影武者としてゲームをする仕事に就きました。
しかし、そのチェスクラブの裏の顔を知ってしまった少年は、チェス人形を連れてクラブを脱出することに決めます。
行き先は、チェス好きの老人達が終の棲家としているシニアハウス。
昼間はその施設で雑用などをして働きながら、夜中に眠れなくなってチェスルームを訪れる老人達の相手を、ここでもチェス人形として勤めるのです。

「博士の愛した数式」では家政婦が数字へ興味をかき立てるような世界が書かれていましたが、このお話でも少年の初恋の女性がチェスの美しさに魅了されます。
チェスを通して心を通わせる二人ですが、残念ながら、ハッピーエンドにはなりません。

将棋マンガ「3月のライオン」を読んだ時にも感じましたが、をチェスや将棋のゲームというのは海や水に例えることが多いのでしょうか。
その中を美しく時にはもがきつつ泳いだ先に、倒そうとする相手のキングもしくは王将が見えるようです。


『死ねばいいのに』;京極夏彦

妖怪の出てこない作品です。

派遣社員として働いていたアサミという女性が殺害され、生前の彼女に関与した人達の前にケンヤという青年が現れます。
ケンヤは会う他人それぞれに、「アサミについて教えてくれ」と聞くのです。
ケンヤに訪ねられた人達は、アサミと不倫をしていた派遣先の上司、彼氏を寝取られたと逆恨みしていたアサミのマンションの隣室に住む女性、ヤクザの先輩から10万円でアサミを譲り受けたまに暴力もふるっていたチンピラの彼氏、借金のカタにアサミをヤクザに20万円で売った母親といった面々。
アサミのことを訪ねられても、皆やましいところがあるので、知らぬふりから始まって、自己弁護を語り始めたり、最後は「こんなに自分はつらいのだから(アサミに対して)どうしてやれば良かったというのだ」と逆ギレし、ケンヤに「じゃあ、死ねばいいのに」といわれます。
そして、揃いも揃って、死ぬことに抵抗を見せるのです。(当たり前、、、)

読んでいる途中では、殺人を犯した青年よりも殺されたOLやその周りの人達の方がよっぽど性悪だったんじゃないかと思えた「悪人」に似ている気がしました。

違うのは、最後の最後で、根本的な悪とは何かがはっきりと書かれるところです。
妖怪よりも、、、ゾッとしますよ。
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by daysofWLA | 2012-04-25 22:00 | 読んだもの
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