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ため息の時間

唯川恵さんの短編集です。
男性の視点から書いたという、女性にとってはかなり身勝手な男性ばかりが出てくるお話が9つ。
たとえば第一話「口紅」は余命幾ばくもない奥さんからザクロ色の口紅を買ってきてくれと頼まれ、愛人に頼んで買ってきてもらう夫。結婚前から妻の化粧を嫌い、妻は女ではなくあくまでも妻、としてしか接しなかった夫。妻が死んだ後に、少し見下していた友人から、妻が夫の前ではつけなかったザクロ色の口紅をつけた姿で、その友人の夢に現れたときき、妻をどれほど理解していなかったかを初めて思い知るというお話。
亡くなってから、知っても遅いのですよね。

「バスストップ」という作品は、妻が従順で納得ずくの様に見えるのを良いことに、(これまた)浮気を繰り返してきた夫が、ある日愛人との旅行から帰ってみると、妻は娘を連れて家を出ていたという話。それまでの妻は、毎日手の込んだ朝食を用意し、スーツやシャツはきちんとクリーニングとコーディネートをしてあげ、生活費以外は全て夫の自由に使えるお金、つまらない会社の愚痴もおとなしく聞く、子供の教育問題も一人で何とかしている、という正に良妻賢母だったので、愛人と再婚したあと自分がいかに「手のかかる夫」に仕上げられていたかを(これまた)思い知るというストーリーです。面白かったのは、これとそっくりなストーリー、でも視点は妻の側から、という作品が、「ゆうべ、もう恋なんかしないと誓った」の中に入っている入っているのです。その「計画」という話を読んだときに「こわ〜い」とゾクゾクしたのを覚えていたのでした。
by daysofWLA | 2005-06-10 14:16 | 読んだもの | Comments(2)
Commented by cabayarea at 2005-06-17 17:28
おおおおーこれはなかなかおもしろそうな小説ですね。しかし「良妻賢母」でもうらぎるときはうらぎるものなんですね男性って。ちなみに私は良妻賢母とはまったく真逆にいるので、いつうらぎられてもおかしくない状態です(笑)
Commented by daysofWLA at 2005-06-21 13:27
cabayareaさん、この本はほとんどのお話が「女性はコワイ、、」「、、ったく男って」というスタンスなので、なんというかコバルト文庫みたいな軽さで読めますよ。私ももちろん、うらぎられる派ですね〜
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