人気ブログランキング |

Annabel Lee

ESLのクラスでエドガー・アラン・ポーのAnnabel Leeという詩を読みました。

グループディスカッションの時間になって、詩の感想などを話し合っていると、同じグループになった一人の男性が「この詩は初めて読んだけれど、自分のガールフレンドのことが思い出されて、とても驚いた」と話し出しました。

彼の話はこうです。
つきあうようになって、始めのうちは彼女の両親が認めてくれず、2年ほど過ぎてようやく将来のことも含めて認めてもらえるようになりました。
何の障害もなくなったと、喜んでいた矢先、彼女に脳腫瘍が見つかってしまったのです。
手術した場合には失明や言語障害、半身の機能障害が起こる可能性もあると聞かされて、ショックを受けた彼女からは連絡が途絶えてしまったこともあったそうなのですが、アメリカに来て手術を受けることが決まり、彼女もそれに望みをかけて、手術が終わったら連絡をくれると言う約束をして見送りました。

数週間後、電話をくれたのは彼女の友人でした。
「手術はどうだったか?」と尋ねる彼に、「手術は成功、目も見えるし、話せるし、運動に問題もないの」と答える友人。
ホッとする彼に、友人は「でもね、」と続けて、



「たった一つだけ、彼女は記憶に障害が起きて、あなたのことを全く覚えていないの」と告げたのです。
他の友人や家族の記憶はちゃんとあるのに、2年以上の間つきあってきた彼氏の記憶だけがない。
それでも、その彼は彼女に会いに行き、話つきあいを続けようとしました。
けれど、彼にとっては長いつきあいの彼女であっても、彼女にとっては全く新しい人という存在で、「彼氏だった」人と説明を受けても、かみ合わない部分がでてきてしまいました。
結局、二人は疎遠になっていき、その後彼は仕事でアメリカにやってきて、彼女は祖国でとそれぞれの道を歩くことになったのです。

詩に出てくるAnnable Leeとは異なり、実際に彼女は亡くなったわけではないけれど、彼とつきあってきた彼女は亡くなってしまったようなものでしょう。
手術は成功したというのに、皮肉な悲しい話です。
近く、再手術を受けるために彼女がまたアメリカに来ることを聞いたそうですが、「彼女に会うかどうか、あってどう接したらいいのか分からないんだ」と寂しそうに微笑んでいました。

そんな悲しい出来事を他人に話してくれるのもつらいのではないかと思うのですが、もしかしたら母国語でない英語だからこそ、話しやすかったのかなとも感じました。
でも、次の手術で、彼の記憶が戻るなんて奇跡が起こったら良いのになんて、気休めは言えませんでした。
by daysofWLA | 2008-05-06 21:31 | LA生活
<< かゆかゆ解消法 All day free Pa... >>